キャラクターインタヴュー第8回「クレオ&火槌」

【ロスター】「ううん、困ったな。前回のヴァネッサとマウザーも大概だったけど、まったく知らない相手にインタビューしろっていうのは、無茶振りが過ぎるぞ」

【ロスター】「それでもやらなきゃ元の場所に戻れないっていうなら、やるしかないか。やれやれ」

【ロスター】「あ、そこの。あなたがクレオさんか?」


【クレオ】「あ? なんだよオマエ。つかここはどこだよ」


【ロスター】「それは俺にも何とも。迷宮遺跡の神秘、不思議空間……とか?」


【クレオ】「なに聞き返してんだぁ? てめぇ、適当なこと言ってると、痛い目見せるぞ!」


【ロスター】「よせ、俺に争うつもりはない」


【クレオ】「だったらさっさと私を元の場所に戻しなよ。細切れにされたくなかったらさぁ……!」


【ロスター】「それにはインタビューを終わらせる必要があるんだ。俺の質問に答えさえすれば、それで……」


【クレオ】「インタビュ〜? さっきから何をワケの分からないことを……」


【火槌】「よしなよ。多分その男の言っていることは本当さ。周囲に目に見えない障壁があって、我の剣でも斬れやしない」


【クレオ】「なんだ、アンタ」


【ロスター】「ひょっとして火槌か?」


【火槌】「ほう、仮初めの名とはいえ、我を承知とはね。いよいよ怪しさ満点。ま、怪しさについては我も人に言えたものじゃないが」


【クレオ】「……私の名前も知っていたね。アンタの質問に答える、それがここのルールだって?」


【ロスター】「ロスター・フラッドだ。戸惑っているとは思うが、少しだけ付き合って欲しい。こっちは質問に答えてほしいだけなんだよ」


【クレオ】「ちっ。それで本当にここを出られるんだろうね?」


【火槌】「我には外でやることがあるんだ。仕方ないから付き合ってやるさね」


【ロスター】「ありがとう。質問っていっても、答えられないような難しいものはないはずだから安心してくれ。えっと、多分だが」


【火槌】「はっきりしない物言いだねぇ」


【ロスター】「俺はあくまで質問者の代弁をするだけだからな。というわけでクレオ、いいか?」


【クレオ】「……っ、なんだよ、私からか?」


【ロスター】「クレオ・ラーダ。糸を駆使した機械技術を得意としているマリオネイター……だな?」


【クレオ】「あ、ああ」


【ロスター】「よし、それじゃ質問を始める。……迂闊な質問するとブチギレそうだからな。ここは無難そうなのをいっておくか」


【クレオ】「あん? 何をブツブツと……」


【ロスター】「クレオさんは綺麗好きですか?頭についてるの、話題の全自動お掃除マシンですよね?」


【クレオ】「はぁ!? 誰が掃除なんかするか! こいつはル●バじゃなくて、ワイヤーの収納器だよ!」


【ロスター】「なるほど、そいつの中にお得意の糸が入っているのか。ネタ質問かと思いきや、結構参考になったな!」


【クレオ】「ちっ、アンタを掃除してやろうか……?」


【ロスター】「それは遠慮しておく。ノってきたところで、次の質問いくぞ。オークという種族についてどうお考えでしょうか?」


【クレオ】「オークぅ? そりゃ豚面の連中のことか?」


【ロスター】「ああ、カルナスではあまり見かけないな」


【クレオ】「フン、あんな奴ら、私の糸で操ってやるさ。もっとも手駒にしたところで、使えるかどうか分からないけどね」


【火槌】「おや、大言を吐いて、寝首を掻かれなきゃいいけどね。聞けばオークっていうのは、オツムの出来はよろしくなくとも、精力は絶倫だそうじゃないか。ククク……、可愛い子豚を孕めるかもしれないよ?」


【クレオ】「あ? 死にたいのか、アンタ……!」


【火槌】「ク……我を殺せるか、試してみるかい?」


【クレオ】「上等だ! 後悔するんじゃないよ……!」


【ロスター】「ストップ! よせって! インタビューの最中に殺し合いを始めるな!」


【クレオ】「ちっ、そうだったね。ふざけた質問を終わらせなきゃ、元の場所に戻れないんだった」


【火槌】「フ、命拾いしたねぇ?」


【ロスター】「ったく頼むから穏便にしてくれよ。次の質問」

【ロスター】「クレオちゃん目が死んでるけど、呪いと関係あるんですか?! 呪いって絶対エロイやつですよね?!! クレオちゃんの壮絶(エロ)な過去の公開もあるんですよね?!!!」


【クレオ】「穏便にしろって言った矢先に、なんて質問だ!?」


【ロスター】「わー、待て! 違う! これはそう、呪い! 呪いってどんなのなんだ!? エロいのじゃないのは分かってるんだ、ただどんな呪いかは紹介欄にも詳しく書いてなかったから、それについての補足をだな……!」


【クレオ】「補足もクソもあるか! なんでオマエにそんなことを言わなくちゃならないんだよ!」


【火槌】「言わなきゃ、淫らな呪いということで、確定ってことになるけどねぇ」


【クレオ】「はぁ!? なんで……っ」


【ロスター】「無理にとは言わないが、知りたがっている人がいるんだよ」


【クレオ】「ち……っ。呪いってのは烙印だよ」


【ロスター】「烙印?」


【クレオ】「魔法の素養がないって、一目で分かるよう、すぐに区別できるよう……そういうことだ。おかげで私はダークエルフと呼ばれるようになった」


【ロスター】「詳しくは聞かない方が良さそうだな……?」


【クレオ】「命が惜しいならな」


【ロスター】「分かった。それじゃ次の質問。エルフといえば外見より長寿なイメージですが何歳くらいなんですか? 結構なお婆さんだったりしますか?」


【クレオ】「なんだ? 私が老けてるってのか?」


【ロスター】「いや、これはエルフっていう種族への疑問だな。少なくとも俺の知ってるエルフは、見た目通りの年齢だけど」


【火槌】「エルフはエルフでもちょいとお里が違うのかもしれないね」


【クレオ】「少なくとも私はババアじゃないよ。妖怪はエキドナだけで充分さ」


【ロスター】「あれは妖怪じゃなくてプロメティア、機械種だろ」


【【火槌】「我は斬り甲斐があれば、妖怪だろうがブリキ人形だろうが構わないけどねぇ」


【ロスター】「次の質問だ。これはクレオというより2人に向けた方がいいかな」


【火槌】「フム、今度は我も答えるのかい?」


【ロスター】「ああ、見るからに敵側っぽい雰囲気ですが、寝返ったり改心して仲間になることはあるのでしょうか? ……だそうだが」


【クレオ】「私がアンタとつるむって? はっ、ごめんだね。そんなことをするくらいなら、さっさと私の糸で操り人形にした方が百倍マシさ」


【火槌】「我の場合、仇敵と書いて"とも"と読む感じかね。クク……」


【ロスター】「お、おう。ある意味思ったとおりの返事だな。でもあくまでそれは今の心境だ。今後、心変わりがあるかもしれないし……」


【クレオ】「ないね。アンタらと仲良しこよしなんて、金輪際あるもんか」


【火槌】「ク……、我は仲良く斬り合いたいと思ってるよ? でもまあ、愛情表現の違いってところだろうねぇ」


【ロスター】「ふぅ、取り付く島もないな。殺伐としすぎて、質問するのも辛くなってきた」


【火槌】「なら気分を変えて、我に質問してみるのはどうだい? 小娘よりは潤いがあるよ。クク……、いささか血の匂いが強いかもしれないが」


【ロスター】「別の意味で渇きそうだ。でもまあ、選手交代はいい案か」


【クレオ】「鬱陶しい質問を切り上げられるなら、私に文句はないよ」


【ロスター】「決まりだな。それじゃ早速行くぞ、火槌」

【ロスター】「迷宮を一人でフラフラしているとのことですが寂しくないんですか?また迷宮探索において、食事やトイレやトイレ、用を足すなど、一人だと不便なことも多いのでは。そろそろ仲間が欲しいとか思っちゃったり?」


【火槌】「寂しいと思ったことはないねぇ。なにしろ我には我に斬られた亡霊どもがいつも付いている」


【ロスター】「ぞくっ。……食事やトイレについてはどうだ? これ、火槌に関わらず、探索者にとってはかなり深刻な問題だよな」


【火槌】「大体、迷宮に生えてるキノコや植物、それに獣どもで飢えをしのいでるね。香辛料だけは携帯していてね。それを振り掛ければ、案外いい味になるもんさ」


【クレオ】「私も似たようなもんだな。それでもどうしても食糧に困った時には、その辺を歩いてるヘボ探索者を狩ったりしているよ」


【ロスター】「き、聞かなかったことにしておく。……どうせここを出たら、記憶はリセットされるようだし。ところでトイレは?」


【火槌】「…………」


【クレオ】「…………」


【ロスター】「ゴホン、さぁ次の質問はっと」

【ロスター】「質問というか、火槌をヒヅチでビッチさんと読んでしまう手合いが複数いたようなんだが、それについてはどう思う?」


【火槌】「傷つくねぇ。これでも我はまだ生娘だっていうのに」


【ロスター】「な……ッ!?」


【クレオ】「なにぃい〜〜っ!!?」


【火槌】「そんな驚くことかい?」


【ロスター】「いや、あんまり意外すぎて……。え、本当なのか?」


【火槌】「恥ずかしながらこの齢まで、剣一筋に生きてきたものでね。いい男なら、睦むより先に斬りたくなってしまう。まったく困った性さね」


【ロスター】「ああ、本当にな」


【火槌】「アンタもいい線いってるよ。ロスターとやら」


【ロスター】「ぞくっ。……本物の肉食系を見た気がする」

【ロスター】「き、気を取り直して次の質問だ。ビッチ姉さん、もとい、ヒヅチ姉さんはどんな戦い方をするんですか? 刀一本で戦うスタイル?それとも、その豊満な胸から暗器とか飛び出しちゃいます?!」

【火槌】「さっきも言ったけど、我は剣一筋だ。流派は郷里の剣法を我流に改造した殺人剣だけど、暗器の類は使わないよ」


【ロスター】「それはそういうポリシーがあるってことか? 剣だけで正々堂々戦うっていう……」


【火槌】「というより、肉を斬り、骨を断ち、ばっさりやる感覚が好きってことさね。刀じゃなきゃあの感覚は味わえないからねぇ」


【ロスター】「聞いた俺が馬鹿だった」


【クレオ】「決まってんだろ。この女がそんな殊勝なタマなものか」


【ロスター】「おかしいな。ますます気持ちが荒んでいくぞ」


【火槌】「気のせいさね」


【ロスター】「気のせいなものか。こうなったら殺伐とする余地のない、和み系の質問をぶつけてやる。おでんの具は何が好きですか?」


【クレオ】「おでん? なんだ、そりゃ」


【ロスター】「東方の伝統料理だよ。熱々で酒によく合って、寒い夜にぴったりの庶民の味方だ。火槌ならよく知ってると思うが……」


【火槌】「ふむ、そうさね……。確かにおでんは好きだが、ひとつの具を選ぶとなると目移りしてしまうね」


【ロスター】「ふっ、おでんの具に迷う火槌。今日始めて和んだ気がするぜ」


【クレオ】「なんだかよく分からないけど、で、結局何の具がいいんだよ?」


【火槌】「やっぱり大根かねぇ」


【ロスター】「へぇ、どんなところが好きなんだ?」


【火槌】「大根斬りっていうだろう? あんな風にすぱっと斬れたら爽快だものねぇ」


【ロスター】「やっぱりか! 意地でもそういう方向に持っていく気か!」


【クレオ】「諦めろって。この女はマジでそれしか頭にないんだよ」


【火槌】「質問があるっていうから、ありのまま答えただけさね。おかげで我のこと、少しは分かったんじゃないかい?」


【ロスター】「そ、それはまあ……」


【クレオ】「ならノルマは達成ってところだね。見な」


【ロスター】「えっ? あ、空間に切れ目が……」


【火槌】「どうやらこの束の間の邂逅も、お開きってところらしいね。これで晴れて解放というわけさ」


【クレオ】「となれば、こんなところにもう用はない。私は行かせてもらうよ」


【ロスター】「あ、ああ、いきなり付き合わせて悪かったな」


【火槌】「次にまみえるのはどんな修羅場か鉄火場か。楽しみにしておくよ」


【ロスター】「できれば平和に行きたいところだけど、お前らじゃあんまり望めそうにないな」


【火槌】「ク、分かってきたじゃないか」


【クレオ】「言っとくけど、私の邪魔をするんじゃないよ!」


【ロスター】「それは約束できないな」