【ロスター】「…………」
【ダグレイ】「…………」
【ロスター】「…………」
【ダグレイ】「……あの、ロスター君?」
【ロスター】「…………」
【ダグレイ】「えっと、何か僕に用があるって聞いてきたんだけど……」
【ロスター】「ああ……」
【ダグレイ】「うん、それで用って何かな。さっきからこうして黙りこくって見詰め合ってるだけで、一向に話が進まないんだけど……」
【ロスター】「……はぁ〜。よりによってアンタが最後とはな。どうしてまたアンタとサシで話すことになったんだか」
【ダグレイ】「……? キミが僕を呼んだんじゃないのかい?」
【ロスター】「ああ、それが依頼だったからな。アンタにインタビューしてくれって」
【ダグレイ】「依頼? インタビュー? ああ、もしかして仕事で……?」
【ロスター】「ああ。どうかしたか?」
【ダグレイ】「何でもないよ。いつものことさ。それでインタビューって僕が受けるのかい?」
【ロスター】「そういうことだ。ここに質問を預かってきてるから、アンタはそれに答えていってくれ」
【ダグレイ】「僕に答えられる質問だったらいいけど」
【ロスター】「アンタは秘密が多いからな」
【ダグレイ】「ふっ、痛いところを衝くね」
【ロスター】「まあ今回はそこまで突っ込んだ質問はないと思うから安心してくれ。それじゃさっさと始めるぞ」
【ロスター】「機械と魔法、両方使うコツみたいなものはあるんですか?」
【ダグレイ】「……コツ。どうかな、感覚的なものだからね。ただイメージを描くことは大切かな。自分がどのように動きたいか、動けるのか、はっきりとイメージにして形にするんだ」
【ロスター】「……イメージ。俺がイメージ通りに力を使うのにどんなに苦労しているか。本当にアンタは思い通りに両極を使いこなせるんだな」
【ダグレイ】「あ、あれ、機嫌を損ねてしまったかな。大丈夫、ロスター君だって練習すれば簡単に……」
【ロスター】「下手なフォローはいらん! 次の質問行くぞ! 孤独のえーすさんのじゃくてんはなんですか?」
【ダグレイ】「まず僕のあだ名は、孤独のエースじゃなくて孤高のエースなんだけど」
【ロスター】「どっちにしろ恥ずかしいあだ名だろ。友達いませんって全方位にアピールしてるようなものじゃないか」
【ダグレイ】「うぐっ、気にしてることを……!」
【ロスター】「気にしてるなら誰かと組めばいい。アンタとなら仕事をやりたいと思ってる探索者はごまんといるだろう」
【ダグレイ】「どうも誰かと動きを合わせるのが苦手でね。それなら1人の方が気楽だと思って……」
【ロスター】「それでついたあだ名がぼっちのエースか」
【ダグレイ】「うぐっ、だから……!」
【ロスター】「アンタの弱点はそのあだ名自体みたいだな……」
【ロスター】「次の質問。友達はいますか?」
【ダグレイ】「また!? なんでその手の質問ばかりなんだ!」
【ロスター】「そういう質問が来てるんだから仕方ないだろ。質問者からも心配されてるんじゃないか?」
【ダグレイ】「質問というか面白がっているような悪意を感じるんだけど……」
【ロスター】「で、どうなんだ? 友達いるのか?」
【ダグレイ】「……もちろんいるよ。友達くらい」
【ロスター】「なぜそこで顔を逸らす」
【ダグレイ】「べ、別に逸らしてなんか……。そうだ、好敵手と書いて、友と読む相手なら目の前に……」
【ロスター】「さぁ次の質問だ。小さい頃、どんな子供でしたか?」
【ダグレイ】「…………」
【ロスター】「どうした? 質問、聞こえなかったか?」
【ダグレイ】「い、いや。そうだね、今とそんなに変わってないと思うけど」
【ロスター】「憎たらしいガキだったんだな」
【ダグレイ】「僕は親がいなくてね。1人で生きていく力を得るために、それはもう必死だったよ」
【ロスター】「それがいつの間にか孤高のエースか」
【ダグレイ】「だからそのあだ名はもう……」
【ロスター】「別に腐すつもりはない。好悪の感情はともかく、アンタの実力は本物だからな。その点は素直に評価しているよ」
【ダグレイ】「そ、そうかい? ありがとう……」
【ロスター】「ちっ、ったくなんで俺がこんなこと……。次いくぞ」
【ロスター】「目の前にいるロスターの好きなところと嫌いなところを教えてください。あとついでにロスターもダグレイの好きなところと嫌いなところを言いやがれ」
【ロスター】「……嫌な質問だな」
【ダグレイ】「僕はロスター君のひたむきなところは好ましいと思うよ。ただ理由もなく突っかかってくるのは勘弁してほしいけど」
【ロスター】「強さは認める。が、そう齢も変わらないのに、妙に落ち着いているというか、冷めてるところは好きになれない。以上」
【ダグレイ】「…………」
【ロスター】「…………」
【ダグレイ】「……なんだか段々気まずくなってくるね」
【ロスター】「インタビューも今日で最後。さっさと切り上げるか」
【ロスター】「好きな女性または男性のタイプは何ですか?」
【ダグレイ】「好きな女性はともかく、男性ってどういうことかな?」
【ロスター】「人間的にってことじゃないか?(適当)」
【ダグレイ】「なるほど。だったら、女性はたおやかで一緒にいると落ち着く人かな。反対に男性の場合はロスター君のように陽気で活力を持った人がいいね。やっぱり僕にはあまりない部分だから」
【ロスター】「うん。寄るな♪」
【ダグレイ】「なんで!? 聞かれたから、答えただけなのに!」
【ロスター】「あー、やっぱりだめだ。調子が合わないし、間が持たない。大体この組み合わせ、誰が得するんだよ……」
【ロスター】「こうなったらこれが最後の質問だ。これを終わらせて、さっさと解散にするぞ」
【ダグレイ】「キミ……、かなり酷いこと言ってるよね」
【ロスター】「えーと、なになに。ダグレイさんを攻略可能キャラに。BLイベントを希望……BLってなんだ?」
【ダグレイ】「え!? いや、ほら、あれだよ、僕とロスター君がその……知らないのかい?」
【ロスター】「知ってたら聞かないだろ。なんだよ、ほら、答えてくれ。それでインタビューを終わらせよう」
【ダグレイ】「あ、ああ。だから……BLっていうのは……」
【ロスター】「BLっていうのは?」
【ダグレイ】「……い、いいかい。BLっていうのは男同士で……ごにょごにょ」
【ロスター】「……ッ!? んなっ!? お前、俺にそんなことを……!?」
【ダグレイ】「いや、僕じゃない。僕じゃないよ! 文脈から読み取るに、攻めはロスター君の方で……。あ、攻めっていうのは、まず攻め役と受け役がいて……」
【ロスター】「そんなことまで説明せんでいい! も、もういい! 俺は帰らせてもらうぞ!」
【ダグレイ】「あっ、ロスター君!!」
【ダグレイ】「……ふぅ、あんなに顔を赤くして、普段あんなに女の子に囲まれているのに、案外免疫がないんだな」
【ダグレイ】「仕方ない。僕が締めの挨拶をするか。キャラクターインタビューの最終回が、こんなのでいいのかなって思うけど……」
【ダグレイ】「依頼者……ユーザーの皆さんでいいのかな。ここまでお付き合いいただきありがとうございました」
【ダグレイ】「本編での僕やロスター君の活躍にご期待ください。本編ではもっとクールで格好いいから、今回のような姿が本当の僕だとは勘違いしないでほしいな」
【ダグレイ】「それではまた会える日を……」
【ダグレイ】「――これで依頼は完了かな。やれやれ、これではまた孤高のエースの名が高まってしまう」