「さぁ、今回はいよいよ"塔"について詳細を語っていくわよ!」
「ほう、見るからにやる気満々じゃのう」
「それはもう! 私にとっては戦いであると同時に、聖地巡礼の旅でもあるんだから!」
「聖地。宗教的な感じより。観光の印象を受ける」
「ふふっ、分かる? 私、歴史好きだから。ラトゥルラーダの塔は人類史上、空前絶後の建築物よ。塔建造時代の出来事は神話化されてて、ロストテクノロジーになったものも少なくないわ。それを実際、見て回れると思うと嬉しくって。そうね、例えばほら、下層にあるフレーム基部には、竜の骨格を流用したと伝わる神殿があって、その建築様式も……!」
「だーっ、待つのじゃ! そんな早口で語られても、ちんぷんかんぷんじゃぞ」
「要点。今回のテーマに沿って。あまり脱線せずに話してほしい」
「えぇ、まだ語り足りないんだけど……こほん、分かったわ。それじゃまずは基本的な情報からね」
「知っての通り、星空まで届く塔だけど、その内部もかなり広いの。今では失われた空間圧縮技術の応用でね。ひとつひとつのフロアを攻略するのも大変よ。中でも、皇国の警察組織である軌道騎士団や、彼らの運用する竜甲機などのマシーンは避けては通れない相手になってくるわね」
「難敵。いくらカイルが反逆の竜でも。楽な戦いではない模様」
「それに塔には、旧時代の環境を再現した多彩な階層があるわ。例えば森や自然を再現した階層では、様々な動植物が魔物化して繁殖しているし……」
「海や水源にもなっている階層では、未知の亜竜が棲息していたり、探索にもかなりの苦労を強いられそうね」
「驚嘆。塔と一言にいっても。バラエティに富んで。まるで飽きさせない」
「うむむ……聖地巡礼というと語弊があるが、まさに世界そのものを相手にしている感じじゃのう」
「他にも上層に位置する衛星階層というところでは、兵器庁が島を丸ごと要塞化しているという噂があるわね」
「兵器庁というのは初耳じゃの? 何やら物騒な響きじゃが……」
「そうね、その名の通り竜甲機や竜奴といった兵器の開発や研究に携わっている組織よ。私やカイル達、反逆の竜一行にとっては、軌道騎士団と並んで厄介な相手ね」
「情報。戦いに大きく関わってくるなら。もっと詳しく知りたいところ」
「分かったわ。それじゃ次回は兵器庁や竜奴、それに真竜について語っていきましょう」