朝である。

鳥は鳴き、陽の光は温かく木々を照らす。
風は優しくそよぎ、何とも心地良い。

ところで、ヴォロミア学園の朝は早い。
自主訓練に励む学生もいるし、そんな学生に対応するべく、
食堂や各種施設も早くから開く。

朝日が窓から差し込む中、
フランは気後れもせず男子寮の廊下を歩いていた。

基本的に出入りは自由であるし、
所用で男子寮に訪れる女子が皆無なわけでもない。
それでも、珍しいことには変わりなく、
フランを見て軽く驚く男子もたまにいたりする。

そんな相手に如才なく笑顔であいさつを送りながら、
彼女は目当ての部屋へと足早に急ぐ。

【フラン】
「昨日はかなり無茶してたものね……。
　 絶対に起きられないに決まってるわ」

勿論、向かう先はアベルの部屋で、
目的は彼を叩き起こすためである。

基本的に寝起きも寝付きも良いアベルだが、
前日にやたら張り切ったり、無理をしたりすると、
翌日はまず起きなくなってしまう。

この辺、ガキと同じで、電池切れるまで飛び回って、
電源が切れたみたいにぶっ倒れるのである。

それでもギリギリで遅刻はしない辺り、本人としては
帳尻を合わせているつもりなのだろうが…… フランに言わせてみれば、
始業ギリギリに教室へ駆け込んでくるのは遅刻と大差がない。

ということで、前日のアベルの行動から類推して、
寝過ごしそうな日は叩き起こしてやるのがフランの日課になっていた。

フランが忙しくて来られない時には、テラが代わりに来ることもある。

ガキ相手ではないのだし、そこまでやってやる必要もあるまいと思うのだが、
そこはそれ、世話好きというか何だかんだでアベルに甘いのがフランだ。

【フラン】
「入るわよー……って、やっぱりまだ寝てる。
　 仕方ないなあ……」

狭い部屋を横切って、カーテンを一気に開け放つと、
陽光に晒されたアベルがもぞもぞとシーツを被る。

【フラン】
「あーもう、観念しなさいってば！
　 ホラ、起きるのー！」

こんもりと山になったシーツをゆさゆさと優しく揺すってみても、
アベルが出てくる気配は一向にない。

【アベル】
「う〜ん、むにゃむにゃ、あと５分……」

ベタなセリフを吐いて寝返りを打ったアベルを、
今度はちょっと強めにぼすぼす叩いてみたが、結果は同じであった。

【フラン】
「いい加減に……起きなさいってばッ！！
　 えーい！！」

業を煮やしたフランは、シーツの端を握ると、 一気に引っぺがす。
いつもならここまではしないのだが、
告白とその後の一件から、二人の距離感は微妙に変化している。

良く言えば近くなっていて、悪く言えば遠慮が無くなっていた。

――それが、不幸の始まりであった。

【フラン】
「……ふぇ？」

呼気が抜けるような声を出して、フランが固まる。

【アベル】
「何だよー、寒いじゃねえか……勘弁して……ん？
　 どうした、フラン？
　 顔がスゲエ真っ赤なんだ……が？」

フランの視線を追って、アベルも自分の下半身へと目を向けると……。

実のところ、今までは絶妙に男女の距離を避けていたフランにとって、
アベルの股間が全力パオーンしている様を見るのは初めてであった。

初めての行為の時に散々見ただろう、という冷静な意見もあろうが、
出会い頭ともなると、また別の話である。

朝に象が元気になること自体は、どうしようもない生理現象なのだが、
いきなり朝からパオーンを見せつけられたフランに、そこまでの思考が及ぶわけもなく……。

【フラン】
「きゃあああああああ……ッ！？
　 何考えてるのよ――ッ！！」

【アベル】
「ぁふんッ！？」

反射的なビンタをブチ込まれて、アベルが悲壮な叫び声を上げた。
もしこの場に男性がいたなら、全員が内股になって前屈みになっていただろう。

ベッドの上で股間を押さえて悶絶するアベルの有様を見て、
己の所業に気付いたフランが顔を青くする。

【フラン】
「あ、ご、ごごごごめんなさいッ！？
　 大丈夫！？　今、治療を……！」

【アベル】
「馬鹿、おまっ、治癒術式とか使っちゃらめえええ！」

治癒術式の多くは、ダメージや傷を消し去っているのではなく、
本人の回復力を高めるものがほとんどだ。
つまり、神経が刺激されて起こる朝立ちに対して使用したりすると……。

【フラン】
「あ、あれ？　余計に大きくなって……？
　 まさか、悪化した……ッ！？」

【アベル】
「悪化とか言うなあッ！？
　 生理現象だわボケェッ！」

涙目で叫び返すものの、股間のイチモツはますます猛り狂うばかりだ。
意識して抑えられるものでもないので、どうしようもない。

【フラン】
「ご、ごめんなさい……っ！
　 自分の身体についてないし、良く分からなかったの！
　 治すにはどうしたら……」

【男子学生】
「おーいアベル、騒がしいけどどうかしたかー？」

騒ぎを聞きつけた学生か、はたまた隣室のヤツか、
ドア越しに疑問の声が聞こえてきて、アベルは肝を冷やした。

素早くフランを抱き寄せてシーツを被せると、ドアに向かって叫び返す。

【アベル】
「い、いや、何でもない！
　 ちょっとジッパーと息子が愛し合っただけだ！！
　 今も悶絶中！！」

【男子学生】
「うっ、想像しちまったじゃねえか！！
　 こっちが痛くなるようなことを言うなッ！！」

おおよそ男なら、あの痛みは思い出したくもない。
学生が逃げるように立ち去る足音を聞きながら、
アベルは汗を拭った

【アベル】
「ふう、危ないところだったぜ……。
　 もし踏み込まれていたら、命が無かったかもしれ
　 ねえ……」

幼馴染みが起こしに来ているだけでも羨望の的だというのに、
股間を腫らして乳繰り合っている様子なぞを目撃された日には、
たとえ真相がどうであれアベルは血祭りを免れまい。

【アベル】
（いきなり部屋に踏み込んでくるようなヤツじゃなくて
　 助かった……ん？
　 あ、イイ匂いするなあ）

落ち着いてみれば、フランを抱きかかえてシーツの中に潜り込んでいるわけで。
彼女の体温や温かさ、花のような香りが、すぐ近くに感じられてしまい、胸がドキリとする。

若い男女が互いの呼吸や鼓動さえ伝わってしまうほど
密着しているのだから、動悸が速くなるのも当たり前だろう。

【フラン】
「……いきなりだったから、流されちゃったけど。
　 もう出てもいいんじゃないの……？」

居心地が悪そうに、もぞりと身体を動かすフランだが、
言葉とは裏腹に自分から出て行こうとはしない。
それどころか、アベルの胸に軽く額を擦りつけて、
甘えるような素振りさえ見せる。

どれくらい、そうしていただろうか。
二人はどちらからともなく身を離して、ベッドから抜け出した。

【フラン】
「そ、それじゃあ、行きましょうか。
　 まだ時間に余裕はあるけど、のんびりしていられる
　 ほどは……え、何？　どうかした？」

フランが立ち上がってアベルを促したが、何故か彼は
手をつかんで放さない。

【アベル】
「も、元に戻らなくなっちゃった……」

恐る恐る、指さされた先を見てみれば。

【フラン】
「い、いつまでそうしてるのよッ！？
　 早く戻してよッ！！」

【アベル】
「普段なら放っておけば元に戻るけど、誰かさんが
　 術式カマしたせいで、どうなるか俺にだって分から
　 ねえんですよ！？」

まあ、密着していたせいで興奮した……というのも
少なからず影響しているのだが、その辺りはお互い様なので深くは問うまい。

【フラン】
「そ、そんなこと言ったって、私の方こそ治し方なんて
　 知らないわようッ！
　 な、何か方法ないの？」

流石に直視は出来ないのか、顔を赤くして視線を逸ら
しながら聞いてくるフランに対し、アベルは言葉に詰まってしまう。

治し方なぞ、これ以上ないくらいに簡単である。
要は溜まっているモノを出してしまえばいいだけだ。
術式で神経が高ぶっていようが何だろうが、
男という生き物は、出せば大人しくなる悲しい存在だ。

【アベル】
「いや、方法は分かってる……けどねえ……」

【フラン】
「なんだ、分かってるの？
　 方法がないのかと思って、焦っちゃった。
　 じゃあ、問題ないじゃない。
　 私で出来ることがあるなら、手伝うけど？」

責任を感じているのか、あっさりと爆弾発言をカマすフランであるが、
彼女はまだ、自分がどれだけ迂闊（うかつ）な発言をしたのか理解していない。

ギラリとアベルの目が輝き、
悪魔のような思考が脳の中でぎゅるぎゅると回転を始める。

【アベル】
「え？　手伝ってくれるの？　マジで？」

【フラン】
「うん、まあ……元々の責任を問えば、私にも一端は
　 あるわけだし……仕方ないわ」

言質は取った。
確認もした。
ならば後は行動あるのみ……！！

【アベル】
「よーし、じゃあフラン。
　 ……脱ごうか」


・・・・・・


【フラン】
「……ごめん、もう１回言ってくれる？
　 私の聞き間違いだと思うから。
　 大丈夫、怒らないから、ハイどーぞ」

笑顔で拳を握るのは、世間一般では脅迫というのではあるまいか。

【アベル】
「もう怒ってるだろ既に！？
　 いや、一番手っ取り早いのは、一発抜くことなん
　 だって！　いやマジで！　嘘ついてないよ！？」

アベルの言にウソはないのだが、
マトモな思考の持ち主なら、到底受け入れられるものではない。

【フラン】
「こんな朝の忙しい中に、そ、その、あ、愛し合う
　 なんてできるわけないでしょうッ！？
　 馬鹿じゃないの！？」

【アベル】
「さ、さっきは手伝ってくれるって言ったのに……！
　 弄ばれた……ッ！！」

【フラン】
（なんて嘘臭い……！
　 どうしてくれようかしら……ッ！？
　 でも、確かに手伝うって言っちゃったのよね……）

大げさに泣き崩れるアベルを、冷めた半眼で見下ろす
フランだが、手伝うと口走ってしまったのは確かで、
その点はすっきりしないものがある。

あんな約束なぞ、反故にしても全く問題はなかろうに、
気にしてしまう辺りがフランの甘さであろう。

【フラン】
「そんな、捨てられた子犬みたいな眼で見てきても、
　 ダメなものはダメ！　脱ぐのはなし！！
　 ほ、他のことで！！」

【アベル】
「他のこと……他のこと……ねえ。
　 それなら……」

考え込んだアベルが最終的に出した答えを聞いて、
フランは激しく後悔したのだった……。


・・・・・・


【フラン】
「ん……、ちゅ、れろ……ちゅ、んむ……っ。
　 じゅ……、んッ、ちゅう……ッ」

朝日が差す部屋の中に、密やかな水音と、
押し殺した息づかいが響く。

結局アベルが出した要求は、直接行為が駄目なら口で、
というものだった。

【アベル】
（まさか押し切れるとは……。
　 言ってみるもんだな！）

勿論、フランはアベルの要求を一度は拒んだものの、
これしか方法はないと拝み倒したところ、不承不承折れてくれた。

彼女自身が『出来ることなら手伝う』と吐いた手前も
あるだろうし、そもそもの原因の一端が彼女にある点も
断り切れなかった理由なのだろう。

【フラン】
「ん……ッ、ふぁ、んむッ、ちゅ……じゅっ、れろッ、
　 んじゅ……ちゅ、ぷぁ……ッ！
　 これで……いいの？　ちゃんと出来てる……？」

慣れない行為に戸惑いながらも、フランは懸命に奉仕
してくれている。

【アベル】
「あ、ああ、気持ちいいよ。
　 もうちょっと先の方を舌で丸くなぞるようにすると、
　 もっといいかな」

【フラン】
「う……うん、分かった。
　 じゃあ……ふぁ……ん、む、ちゅぅ……ッ、れろ、
　 んぷ……ッ、んふ……ッ」

【アベル】
（気持ち良いのもそうだけど、コレは視覚的にもかなり
　 クるものが……！！）

幼馴染みの女の子が、自分のアレをしゃぶっていると
いうのは、想像以上に興奮を催す光景だった。
ただでさえ、フランのキャラには似合わない行為で
あるから余計だ。

【フラン】
「んちゅッ、じゅぷ……んッ、ちゅぅ……ッ、ふぁ、
　 んむッ、ちゅぱ……ッ、んぅ！？
　 ぷはぁッ、な、何！？　びくんってした……！？
　 何か変なことしちゃった！？」

余りの気持ち良さに腰が跳ねてしまっただけなのだが、
フランは叱られた子供みたいな目で見上げてくる。
相当、おっかなびっくりでやっているらしい。

【アベル】
「いや、大丈夫大丈夫。
　 気持ち良くって、つい腰が跳ねちまった。
　 心配せずに、そのまま続けてくれてオーケー！」

親指を立てつつ、逆の手で髪を撫でてやると、フランは
安堵の息を吐く。

【フラン】
「そう、良かった。それにしても……こんなところが
　 気持ちいいんだ……。
　 男の人のって良く分らないなぁ……。
　 ぺろ……ん……っ、ちゅ、れろ……ふぁ……」

首を傾げつつ、フランは奉仕に戻る。
少しずつ慣れてきたのか、動きが少しずつ大胆になって
きて、快感が増してゆく。

【アベル】
（ぬおお、研究熱心なのは良いことー！！）

【フラン】
「じゅぷ……っ、んぷ……ちゅ、じゅぱ……っ、んっ、
　 ぷはぁっ、あ、大きくなってきた……。
　 ええと……こう、かな……？　れろ、ちゅぅ……っ」

アベルが心で上げる嬉しい悲鳴に気付くわけもなく、
フランは彼の反応を見ながら微妙に手と口の動きを調整
し始める。

先端に軽く口付け、手で幹を刺激しながら、アベルの
顔色を窺い、舌で全体を愛撫してゆく。
そうしていると、口から鼻にかけて、彼が放つ男の
匂いが立ちこめて、思考が塗りつぶされていった。

【フラン】
（これ……頭の芯……ぼうってする……。
　 アベルの匂いで……変になりそう……）

実際、最初は忌避感が強かった行為に、フランは没頭
し始めていた。

最初から嫌悪感……というほど強い拒否の感情があった
わけではなかったが、今では、この行為でアベルが喜ぶ
様を見ているのが、いとおしいとさえ思ってしまう。

【フラン】
「れろ……んっ、ここを……こうして……ちゅっ、
　 ちゅぱ……ん、じゅぷ……んっ、ちゅう……ッ」

唾液で全体が濡れた頃合いを見計らって、先端を口に
含んで、舌で転がす。
嫌がっていた割には、段々興が乗ってきているような
気がするのは気のせいだろうか。

【アベル】
（うう……、これは想像以上……ッ！！
　 まさかフランにこんな才能が隠されていたとはッ！）

落ちてくる髪の毛をかき上げる仕草が、何とも色っぽく
見えてしまって、アベルはごくり生唾を飲み込む。
頬を染めたまま、一生懸命に奉仕している姿は、何と
いうか、胸が熱くなる。

【アベル】
「いいぜ、フラン。
　 すごい気持ち良いよ……。
　 今度は、全体を吸う感じで頼む」

懸命な奉仕をしてくれるフランが愛しく思えて、アベル
は彼女の髪をそっと撫でてやった。

【フラン】
「んむっ、じゅぷ……っ、ちゅっ、んぷ……っ、
　 ぷはぁッ、んん……じゅ……ちゅうう……ッ」

褒められたことが嬉しいのか、フランの奉仕に一層の
熱が入った。
言われた通りに唇をすぼめて、軽く吸い立てる。

【アベル】
「くぅ……ッ！
　 やべ、腰が笑いそう……ッ」

アベルの声が切羽詰まってきていることが可笑しくて、
フランは目を細めて微笑う。
雄の匂いに当てられて、彼女はすっかり出来上がって
いた。

舌でアベル自身を舐め回すことも、先端から滲む汁を
飲み込むことも、抵抗はなくなっている。

【フラン】
「ふふっ、こういうアベルも、何だか新鮮かも。
　 ちゅ、んむ……、はむ……れろ……ちゅぅ……っ、
　 じゅぷ……、れろ……んふ……ッ」

先端を吸い、舌を絡め、頬の内側で擦り上げてくる
動きが混じり合い、快感がどんどん強まっていく。

唾液を飲み込むのが間に合わず、口からこぼれて
しまっているが、その様子がまたエロティックで
アベルの興奮を加速させた。

【フラン】
「んむ、ちゅ、れろ……ぷぁ……っ。
　 我慢しないで、早く出してね？
　 時間、間に合わなくなっちゃう……ちゅ、じゅ、
　 ちゅう……ッ！」

いつまでも楽しんでいたいのは山々だが、フランの言い
分もその通りである。
というか、彼女の手前、みっともないザマを晒すまいと
必死に気張っているアベルの限界は近い。

【アベル】
（ああ、気持ち良いから出したい！
　 しかし出したら終わってしまう……！
　 何という究極の選択ッ！！）

大分脳が茹だって、アホなことしか考えられなくなって
いるようだ。

【フラン】
「ちゅ……れろ……ん、ちゅぅ……ぷぁ、ん……っ、
　 んふ、ぴくぴくして……そろそろ……かな？
　 じゅぷっ、じゅぷぷ……っ、れろ……っ」

アベルの限界が近いことを感じ取ったフランが、更に
奉仕を強くしてゆく。
この短い時間で、アベルの弱いポイントを学習した
彼女の口淫は的確で、無駄がない。

舌先を尖らせ、先端の割れ目をこじ開け、軽くねぶり、
強く、時には弱く吸い立てる。

【アベル】
「うく……ッ！？」

【フラン】
「んふぅっ、じゅぷ……ッ、じゅぱ……ッ、れろ、
　 んじゅ……じゅぷぅ……っ、ちゅう……ッ」

幹を手でしごきながら、円を描くように舌を動かし、
唾液を絡めて上あごで擦り立てられると、アベルは
天を仰いで快楽に打ち震えた。

【アベル】
（マジでヤバイ……ッ！
　 初めてでコレってマジか――ッ！！）

少しでも気を抜いたら、すぐにでも射精して果てて
しまう。
シーツを握りしめて耐えるが、もう下半身は快感の
塊になってしまったようだった。

【フラン】
「こっちも……触って大丈夫なのかなぁ……？
　 優しく触るから……ね？」

【アベル】
「おまっ、そこはらめええええッ！？」

たどたどしく伸びた白く細い指先が、玉を優しく撫で
上げる。
指の冷たい感触が、熱を帯びた下半身にひやりと響いた
瞬間――。

限界だ。
アベルの腰がびくりと跳ね、なけなしの制御が瓦解
した瞬間、勢い良く射精が始まった。

今までたまった分を晴らすような勢いで、勢い良く
白濁が吐き出される。

【フラン】
「んふ……ッ！？
　 んぁ、じゅ……ぷ、ちゅ……んぐ、んん……ッ、
　 んく……ごく……」

いきなり口の中に大量の白濁を注ぎ込まれ、一瞬、目を
白黒させたフランだったが、すぐに意を決して喉を
鳴らして飲み込み始めた。

とっさに吐き出す場所が見当たらなかったからだが、
その判断を彼女はすぐに後悔することになる。

【フラン】
「んぶ……っ、んんーッ、んぐ……ごく……ぷぁッ、
　 ちょっと……出すぎ……ッ、んく……ごく……ッ、
　 んッ！？　けふッ、けふんけふん……ッ！」

口の中で止めどなく吐き出される白濁を飲み込み切れ
ず、咳き込んだ拍子にアベル自身が口から抜け落ちた。

【アベル】
「……おぅ、マズ……ッ！？」

熱い口内から冷えた外気に突然晒されたアベル自身は、
反射でぶるりと震え、残っていた白濁を一気に迸らせて
しまう。

【フラン】
「……ぁ、まだ……出てる……すごい……」

ぼたぼたと床に精液溜まりを作ってゆく様を、フランは
呆然と見つめる。
むせかえる男の匂いに頭の芯がぼうっとして、理性より
先に本能が行動を選んだ。

【アベル】
「……え？　ふ、フランさんッ！？
　 あひ……ッ！？」

【フラン】
「んっ、ちゅ……っ、ちゅる……んっ、ちゅぱっ、
　 ぷぁッ、んふ……んッ、ちゅぅ……ッ」

なんとフランは、勢いを失い、下を向いたアベル自身を
持ち上げると、先端に吸い付いたのだ。

尿道に残っている白濁を吸い出し、幹の周りにこびり
ついた分も丁寧に舌で舐め取っていく。
可愛らしいピンク色の舌が、一見グロテスクな性器の
表面を艶めかしく這い回る様は、淫靡極まりない。

【アベル】
（うわ、うわああああ……！
　 ふ、フランがこんなことを……！）

再び自分自身に血液が溜まっていきそうな光景であった
が、ここで再充填してしまったら、全てが振り出しに
戻ってしまう。

今でこそフランも懸命に奉仕をしてくれているが、
ふと我に返ってしまったらどうなるか分からない。

【アベル】
（くそ、くそ……ッ！！
　 我慢だ俺……ッ！！）

こうなると、下半身から絶え間なく這い上がってくる
快感も、視覚から来る刺激も、毒にしかならない。

【フラン】
「ちゅ……ッ、んぷぁ……ッ、綺麗になった……かな？
　 これでいいよね、アベル……？」

夢見るような、甘えるような声音に、心臓が大きく
跳ねる。

【アベル】
「あ、ああ、気持ち良かったよ、フラン……。
　 ありがとうな」

もう一発お願いします、と言いたい気持ちを、心で
血涙を流しながら飲み込んで、アベルはぎこちなく
微笑むのだった……。


・・・・・・




【フラン】
「……って、部屋の掃除とか色々やったら、時間ギリ
　 ギリじゃない……ッ！！
　 やっぱり騙された……！」

【アベル】
「い、今更言うなよッ！？
　 ほら、前向かないと危ないから！」

結局、あの後、着替えやら床にこぼれた液やらの掃除で
思いがけず手間取り、すっかり遅れてしまった二人は、
目下遅刻スレスレの時間帯をダッシュしていた。

清掃の職員などに白い目で見られるが、引きつった
笑顔でやり過ごしつつ速度は緩めない。

【フラン】
「今度、何か美味しいもの買ってきなさい！
　 ちゃんと街で探してくるのよ！
　 それでチャラにしてあげる！」

【アベル】
「パシリかよ！？
　 しかも、買って来いってことは、全員分か！？」

全員分とは言っても、大した人数でもない。
それくらいで手を打ってもらえるなら、安いモノだと
言える。

照れと怒りが半分ずつの視線を送ってくるフランに
降参のポーズを見せながら、アベルは放課後の予定を
組み直すのだった……。


・・・・・・


余談であるが、努力の甲斐あって、何とか遅刻は免れた
二人であったが……。

廊下を大疾走する姿をガルヴァーニにばっちり目撃され
てしまったため、こってりしぼられたことを、ここに
報告しておこう。