楓「なぜ?」
ルナ「なに?」
「「おしえて☆あるすまぐな~!!」」
「というわけで、わしが好きな四字熟語は『焼肉定食』なninetailのマスコット、九尾の狐の楓じゃ!」
「紹介。私が。何かと話の先を読むのが得意な。dualtailのマスコット。双尾のねこまた。ルナ」
「ルナよ。なんだか、巷ではタチの悪い病気が広まっているようじゃのう」
「予防。万が一に備えて。うがい。手洗い。マスクの着用。加湿。その他諸々。しておかねば」
「件の病気でなくとも、この季節は普通に風邪やらインフルエンザやらが珍しくないからの」
「閑話。病気の話はさておき。今日の。お題は?」
「うむ、今日なんじゃが、わしらは『創神のアルスマグナ』の世界について知らんことが多いので、いっそ現地を見に行こうかと思うのじゃ!!」
「了解。話は読めた。ならば。さっそく。事前に準備しておいた。転移術式がここに」
「なぬ!? 話の先を読むのが得意というのは嘘ではねえのじゃ!?」
「材料。神気を帯びた狐の毛は。魔術の媒体としても優秀」
「ほうほう……ん? 最近、起き抜けに尻尾を見ると、先っぽがちょいちょいハサミか何かでばっつんされておるのじゃが、もしかして……」
「発動。それではアルマグの世界へ。転移開始」
「ぬわああああ! あとで問い質すからの!? 絶対じゃからな!!」
今、この地は塵界(オーズ)から迫る危機
塵灰(ダスト)の脅威に晒されていた。
塵界の尖兵、灰魔侵攻の報に、創神の長・オリジン五神が
集まって対策を練るが……。
キュベ「やれやれ……今度の灰魔はかなりの軍勢。魔導学院から助っ人が来てくれるとよいが……新米に任せるにはちと酷じゃの」
アプスー「せめて、こちらにも戦いが得意な創神がいればいいんだけどぉ」
ティアマト「氷竜レヴィアタンが健在だったらね。きっと勇敢に戦ってくれただろうに……」
マルドゥック「しょうがねーよ。二代目はまだ生まれて間もないから、戦いは期待できねぇ」
シャマシュ「……あるいは、何とかなるかもしれません。レヴィアタンの権能を代行できる者を、異世界から召喚することができれば」
「異世界じゃと? そんなことが可能なのか?」
「はい、とある者達の力を借りれば」
「とある者達? 誰だよ、それ」
「あらぁ? 知らない魔法陣が出てきたけど、もしかしてこの子たちかしらぁ?」
「とうちゃーく! ここが『創神のアルスマグナ』の世界じゃな?」
「周囲。なんだか。見たことがあるような。無いような。集団に。囲まれている」
「あらぁ、見慣れない創神ねぇ。どこから来たのかしら~?」
「ふふふ、創神ではないのじゃ。わしはninetailのマスコット、楓じゃ!! 九尾の狐なのじゃ!!」
「マスコット……? じゃあそちらの、黒い方は?」
「紹介。私はルナ。楓と同じく。dualtailのマスコット」
「お二人をお待ちしていました。実は私たちは……」
「知っておるぞ!! 確か、創神のオリジン連中じゃろ!! こないだの紹介のときに尻を出して居った奴もおるな!」
「おいおい、確かにオリジンだけど、誰も尻なんか出してねーぞ。人違いじゃねーのか?」
「マスコット……か。存在自体は知っておったが、揃って胸は小さいのじゃな。残念じゃ」
「あらぁ? お尻と胸の話? スーさん頑張っちゃうわよぉ?」
「ええい、創神の長がそろって馬鹿な話をするでないわ!」
「話題。先ほど。そこのシャマシュが。何か。言いかけていたようだけれど」
「あ……えと、それなのですが、お二人の力を借りたいのです。実は……」
「いやはや、ちょっと美味いものでも食いに来ただけのつもりが、どうやら面倒なことになっておるようじゃのう」
「危険。灰魔を。放っておくと。この世界が。塵になってしまうというのは。さすがに。見過ごせない」
「そうさせないために、二人の力を借りたいのです。世界を渡るその能力で、創神レヴィアタンの代わりとなる者を呼ぶことはできませんか?」
「うむむ、いきなりの無茶振りじゃが……」
「代理。カマイタチとか。クッキングママあたりなら。暇そうなので。気軽に。連れてこれるけれど」
「クッキングママ……? は知らないけれど、流石にイタチでは氷竜の代理は難しいと思うよ」
「なー、いっそ適当に強い奴を呼んでもらえばいーんじゃねえの?」
「因果律などの問題もあるので、強ければいいという話では……」
「うーん、レヴィアタンレヴィアタン。なんだか聞き覚えだけはあるのじゃが。こう、喉まで出かかっておるんじゃがなあ」
「提案なんだけどぉ、一回ダメもとで『召喚』ていうの、やってみたらどうかしら~?」
「成程。儀式に使う魔力は。創神たちが出してくれるというのならば。ダメもとで試してみるのも。悪くないかもしれない」
「まあそうじゃのう。では、試しにおぬしらの魔力をちょこっと分けてもらうぞ」
「致し方ない。吾がマナを使うが良いわ。その代わり、その術式を間近で見せてもらおうかの」
「実験。魔力――スートラを使い放題。普段出来ないことを。色々試すチャンス」
「さっきのわしの尻尾にしてもそうじゃが、こやつ他人の魔力だと思ってやりたい放題じゃな。いつもより魔方陣が3倍くらいでけえのじゃ」
「構築。わたしたち自身を座標とするのと。異界存在を起点とした召喚術式では。そもそもの難易度が違う」
「成程のう。吾のマナを収束させ、スートラとやらに変換すると同時に、対象存在の属性に合わせて作り変えておるのじゃな」
「正解。その上で。この世界魔力との同期も平行する難易度は。段違いなのだけど」
「……うむ、こやつらが何言ってるのか、清々しいくらい分かんねえのじゃ!!」
「嘆息。この辺りの調整を。感覚だけでやってる楓には。絶対に分からない」
「む? わし、何かやってしまったかのう?」
「安心しろ、あんなもんわからなくて普通だろ」
「……。完成。それでは。変換した魔力を流し込んで召喚開始」
「うむ、とりあえずやってみるのじゃ! ビョルビョルビョッサイム、ビョルビョルビョッサイム!」
レヴィア「…………へ??」
「どうやら召喚成功じゃ!!」
「成程。氷で。竜で。レヴィアたん。まさに条件どおりの。人物が釣れた模様」
「レヴィアたん、っていうのぉ? 確かに、氷竜の力を感じるわ~」
「えっ、どこ、ここ? なにっ? 私、確か……ベヒモスに乗って、移動中だったはずだけど?」
「すっげぇー! 本当に召喚したぜ! こいつがレヴィアタンの代わりかー!?」
「ふむ、悪くない」
「ふぇっ、だ、誰……!?」
「驚かせてしまって、すみません。レヴィアたん様。実は貴方のお力を借りたくて、この世界にお呼びしたのです」
(いま『レヴィアたん』って言わなかった?)
「この世界はいまレヴィアの力が必要だそうじゃぞ。わしも召喚に協力したのじゃ」
「は? え、この世界? 召喚? ……ちょっと、詳しく説明しなさいよ」
「はい、実は……」
「……なるほどね。まったく、人の了承も得ずに勝手なことしてくれるじゃないの。そこのマスコット二人、後で覚えておきなさいよ」
「心外。頼まれて。やっただけなので。文句は創神たちに。言ってほしい」
「ここの連中が困っておったのでのう。おぬしの力を見込んでのことじゃ。一肌脱いでくれんか」
「お願いします……」
「そ、そこまで言うなら……。仕方ないわね。武者修行がてら、その灰魔ってのと戦ってやろうじゃない!」
「あらぁ、やってくれるのぉ。ありがとう~」
(案外ちょろいというか、おだてやすいヤツじゃな)
(陥落。VBヒロインだけあって。簡単に堕ちる)
(おいおい、マスコットってこんな腹黒いのかよ……)
「さて、さっそくじゃが、灰魔の軍勢が来寄ったわい」
「こちらの気配を感じ取ったみたいだね。レヴィアたん、準備はいい?」
「いや、私の名前はレヴィアたんじゃなくて……ああもうっ、そんなことは後でいいわね! 来なさい灰魔! 魔竜王の娘の武技、見せてあげるわ!」
「へぇ、こいつらが灰魔……。なるほど、気味の悪い連中ね」
「なんか禍々しいオーラを放っておるのう」
「触れられると、こちらまで体が灰のように白くなって崩れてしまう。この世界を襲う脅威じゃ」
「危険。触れるだけで駄目では。迂闊に近づけない」
「ふんっ、でも触れただけで倒すなら、私のシャリートだって……!」
「あらぁ、レヴィアたんの周囲にものすごい冷気が満ちてるわぁ」
「吹雪け、愛刀シャリート! レヴィア=ネフティスの名において、美しく、残酷に、咲き誇りなさい!」
「おおっ、一撃でやりやがった! やるなあ、レヴィアたん!」
「ほう、灰魔を丸ごと凍らせて砕くか……! やるのぉ、あれなら再生はできん」
「はい、彼女に来ていただけて、幸運でした」
「こりゃ創神ども、まだ灰魔の集団は残っておるぞ! さっさと手伝わんか!!」
「戦乱。レヴィアはともかく。わたしたちまで戦わされるとは。想定外……」
「二人とも、この程度で根をあげてたら、ザハークたちの師団についていけないわよ!!」
「わしも好き好んで師団に入りたいわけではないのじゃー!!」
「……ふぅ、こんなものかしら。それなりに手強い相手だったけど、私にかかればこんなものよ」
「感謝します! 貴方のおかげで灰魔の軍勢を撃退できました」
「異世界にも、こんな力を持つ存在がいたんだね。レヴィアたん、流石だよ」
「いや、私はレヴィアたんじゃ……」
「完全に名前を間違えて覚えられておるのう」
「あの、ところで、レヴィアたん様。その力と技を、学院にいる錬金術師の若者に教えてあげられませんか?」
「へっ? 私が……?」
「学院。そういえばこの世界には。カリオストロ魔導学院という学院が。あるのだったか」
「レヴィアがそこで教鞭を持つ、ということじゃろうか?」
「き、教鞭?! え、えーと、そういうのはあまり性に合わないっていうか……そもそも私、元の世界に戻らないといけないし」
「えー、せっかく来たのに帰っちゃうのかよー!?」
「仕方ないわよぉ、異世界からこっちの都合で急に召喚したんだもの~」
「それに、力を貸すのはやぶさかではないけど、手助けしようにも私はロディニアからこっちにこれないわよ」
「ふむ。……それならこういうのはどうじゃ? そもそも錬金術師とは、万物を触媒に、神秘の創造を成す者達――」
(なんか錬金術について語り始めたぞ)
(経験。錬金術に関わる人物が語りだすと。総じて面倒くさい)
「今回は、このマスコットたちの術によって扉を繋げたが、錬金術の力を使えば別な触媒を用意することも可能じゃろう」
「別な触媒……というと?」
「その愛刀、『氷刃シャリート』と言ったか? ただならぬ因果律を感じるのじゃ。もし、あの学院のやつらが錬金術で、おぬしの持つ武具を再現することができれば、因果律により扉を繋げることが可能なはずじゃ」
「ということは、わしらが居なくてもレヴィアがこっちに来れるということじゃな?」
「そう。もし扉を繋げることが出来たならば、教鞭とまでは言わん。召喚に応じ、そちの力を貸してやってはもらえぬか……?」
「へぇ、錬金術で私のシャリートを造りだせるというの? 本当かしら、少しだけ興味が湧いてきたけど」
「できなければ、未熟の証。でも叡智の探求を目指す彼らなら、きっと――」
「前向きに考えてもらえないかしらぁ」
「そうね……本当に、この氷刃シャリートを再現できるなら……いいわ。私が力を貸すだけの器量があると認めてあげても」
「解決。どうやら話は。まとまった模様」
「呼んでおいてなんじゃが、良いのか? おぬしもロディニアで師団を率いてドンパチしてたんじゃろう?」
「まあ、異世界での戦い方っていうのも、いい経験になりそうだしね。ザハークやティアとの再戦のヒントがあるかもしれないし……」
「ザハーク? ティア?」
「こっちの話! まあそんなわけだから、再会を楽しみにしておくわ。その学院の錬金術師とやらに、よろしく伝えておきなさい」
「話はまとまったようじゃの。我ながら今回はいい仕事をした気がするのじゃ」
「結局。美味しいものどころか。わたしたちも。灰魔と戦わされただけだった」
「わしもさすがにヘトヘトとじゃ。さっさと帰るとするかのう」
「そんなわけで、『創神のアルスマグナ』の世界から帰還したのじゃ」
「召喚。レヴィアを仲間に入れるための。シャリートの設計図は。製品版予約に付属するDLコードで。入手できるとのこと」
「何だかよくわからないけど、つまりはこれね?」
「今度はわしらではなく、皆に呼び出してもらうわけじゃな。お手並み拝見なのじゃ」
「期待。これでわたしたちが手を貸さずとも。あとは学院の皆が。頑張ることだろう」
「ええと、他に何かおしらせはあったじゃろうか?」
「…………」
「販売。『リグレットもみまくら2次受注』や『創神のアルスマグナ公式通販』など。現在。楓通販で色々と販売中。とのこと」
「現在は色々商品が並んでいるから、直に行って確認してみるが良いぞ」
「完了。最低限の。お知らせも済ませたことだし。そろそろ休もう」
「そうじゃのう。今日は色々あって疲れたのじゃ」
「いや、なに全部終わったみたいにくつろいでるのよ! 私の帰り道はどうなってるのよ!」
「失念。レヴィアを返すのを忘れていたけれど。魔力が心もとないので。まずはひと眠り」
「ちょっ!?」
「やれやれじゃな! というわけで、わしも神力を補充するためにひと眠りするのじゃ! ユーザー諸君も、魔力や神力の乱用はほどほどにするんじゃぞ! ではの!!」
「『ではの!!』じゃないわよっ! 早くベヒモスに戻しなさーいッ!!」