淫具を部屋に持ち込んだ雅也は、呼んだファムが来る
までボーっと待っていた。
雅也ができる最終チェックは終わっているし、後は試す
だけである。
ドアの外に、軽快な足音が聞こえた。
直後。
【ファム】
「おとーさん、お待たせ〜っ!
ごめんね、準備してたら遅れちゃった〜!」
ぱたぱたと軽い足音を立てて、ファムがドアを開けて
入ってきた。
ノックなぞ勿論しちゃいない。
【雅也】
「……ファム、他人の部屋に入る時は、ノックした方が
いいですよ」
【ファム】
「え? どうして?
ファムとおとーさんは家族でしょ? 他人じゃない
から、要らないんじゃないの??」
首を傾げて、心底不思議そうにしている。
どうやら、色々と教え直す必要はありそうだが、今は
そんな暇も無い。
【雅也】
「まぁ、ノックについては不問にするとして。
今回、ファムにモニタリングしてもらう淫具はこれ
です……!」
雅也が差し出した淫具、それは……。
【ファム】
「……猫さんのお耳? それから……尻尾?
わあ、可愛いね〜」
それがどんな機能を持つかも知らずに、満面の笑みを
見せるファム。
取り合えず、可愛いものに対して好印象を覚えるように
プログラムしたのは雅也だ。
まぁ、その『可愛いもの』を判別できているのは、それ
なりに凄いことではあるのだが、今は捨て置く。
【雅也】
「じゃあ、その耳と尻尾、それから首輪を着けてきて
下さい。
そうしたら実験開始です」
実際、この猫なりきりセットでも言うべき『キャターズ
パープル』をつけたら、意識は吹っ飛んでしまう。
その辺はティエラに試したこの手の淫具で証明済みで
ある。
勿論、あの頃とは意識操作性は格段に上がっているが。
【ファム】
「うん、分かった。
じゃあ、着けてくるねっ」
小走りに部屋を出ていくファムを、思わず頬を緩めて
見送ってしまう。
元々、小動物のようなファムが猫になったら、どうなる
のか、なかなか想像すると楽しい。
【雅也】
「あんまり変わらなかったり……ってことはないです
かね、淫具の効果ですし」
ふむ、と腕を組んで考え込んでいると……。
【ファム】
「にゃぁ〜ん♪
おとーさぁ〜んッ!!」
【雅也】
「……ぉふッ!?」
横合いから強烈な衝撃が突き抜け、雅也は肺の空気を
吐き出しながらもんどりうってベッドに倒れ込む。
【ファム】
「にゃー♪ おとーさぁーん♪
ごろごろごろごろごろごろ……」
【雅也】
「あいたたたたた……い、一体何事ですか、ファム?」
衝撃に顔をしかめて、雅也が半身を起こすと、何やら
絶好調気味に幸せそうなファムが胸に抱きついて、頬を
すり寄せていた。
【ファム】
「ええ〜? どうもしてないよぉ〜?
ファムはいつものファムだもん〜♪
にゃーんごろごろ〜♪」
言いつつも、目を細めたファムは身を乗り出すように
して、自分の首筋を雅也に擦りつけている。
その様子は……マーキングしている猫のそれだ。
【雅也】
「あ、あからさまに違いますがッ!?」
普段だって、ファムは多少、猫っぽいところがある。
気分屋で好奇心が強いところなどは、正にそれだ。
だが、今のファムはその比ではない。
大体、語尾までちょっと怪しくなっている。
【ファム】
「にゃ〜ん、おとーさん、大好き〜♪
ごろごろごろ〜♪
ぺろぺろ……」
雅也の混乱も露知らず、ファムはいつの間にか雅也の
シャツのボタンを外して、小さなピンクの舌をチロチロ
と雅也のいたるところに這わし始めた。
【雅也】
「ぬあ、いつの間に服を!?
やりますね、ファム!?」
小さくて熱い舌先が肌に触れるたび、くすぐったさで
身をすくめてしまう。
そんな雅也の様子が嬉しいのか、ファムは小さな鼻を
鳴らして匂いをふんふんと嗅ぎ始める。
【ファム】
「くんくん……えへへ〜、おとーさんの匂いだ〜♪
にゃーん、ごろごろごろ〜♪
すりすりすり〜」
【雅也】
「わ、く、くすぐったいですってば、ファム!?」
鼻息がこそばゆくて、ばたばたと暴れる雅也だったが、
ファムは全く聞いちゃいない。
幸せそうに頬擦りしたり、チロチロと舌を這わせて甘え
モード全開である。
【ファム】
「えへへ〜、すりすり〜♪
ぐりぐり〜、ごろごろ〜、ぺろぺろ〜♪」
いくらファムが幼児体型とはいえ、一応は女の子。
これだけ押し付けられれば、柔らかでほっそりとした
身体の感触がダイレクトに感じられてしまう。
肉は薄いが、小さな身体はそのものが柔らかくて、熱い
感触を持っている。
それでも、未発達な胸が押し付けられれば、他とは違う
柔らかさが感じられたりして、何だ。色々マズイ。
【雅也】
「ちょ、ファム、落ち着いて……!」
マズイので、雅也はファムを取り合えず引き剥がしに
かかる。
こんな身体に欲情してるとなれば、人としてヤバイ。
……もう抱いちまった後なので、今更だが。
ファムに抱きつかれ、揉みくちゃにされながらも、とに
かく雅也はファムを引き剥がそうとした。
その時、雅也の手がファムの敏感な部分にたまたま
触ってしまう。
【ファム】
「にゃんっ、おとーさん、変なところ触っちゃ、ダメ
だよぅ〜♪
ファム、ムズムズしちゃうよぅ……」
頬を染め、目を細めてファムが雅也をたしなめる。
その表情は……何と言うか、ひどく艶かしい。
子供の顔立ちのクセに、声は甘いし、紅潮した頬は艶
めいているしで、ドキッとするほどだ。
【雅也】
「こ、これは、不可抗力で……!?」
思わず声を上ずらせ、わたわたと手を動かす。
慌てた動きが、更にファムの身体を滑り、さわさわと
愛撫のような動きをしてしまう。
【ファム】
「ふにゃぁっ、んっ、ふにゅ……っ。
おとーさん、お指、気持ち……いいよぅ……。
ふにゃ、んっ、なぅ……ごろごろ……」