雅也が差し出した淫具を見て、ティエラの顔に疑問符が
浮かぶ。
見慣れないものを見た、といった表情だ。
【ティエラ】
「……これ、なんですか?
いえ、その、え、えっちに使うっていうのは分かって
いるんですけどっ」
何故か慌てるティエラに、雅也は微笑んで見せる。
ティエラがこの手のアイテムに関して知識が乏しいのは
百も承知だ。
【雅也】
「これは俗にいう『バイブ』というものの一種です。
形状が珍しいので、分からなくても無理はないです」
確かに、龍の姿を模しているバイブは多くあるまい。
普通は男性器の形だ。
【雅也】
「これはドラゴンスクリューと名付けられています。
この螺旋をかたどった形状が、普通のバイブとは全く
違った快楽を与えてくれるのです! そして……」
…………
…………
【雅也】
「……というわけです。
分かりましたか、ティエラ!」
機能について語っている間に、何だかヒートアップして
しまった雅也である。
ティエラはちょっと引いてしまっているが。
この辺、研究やら何やらについて語らせると自分を
見失うのは、研究者の常だ。
【雅也】
「……こほん。
と、ともあれ。
早速試してみましょう」
淫具を手に、ずい、と一歩を踏み出す雅也。
微妙に声が上ずっているのが恐い。
さっきの今なので、思わずティエラは身を引く。
【ティエラ】
「ま、雅也さん、ちょっと目が恐いですよ?
お、落ち着いてー、落ち着いてー……」
愛想笑いを浮かべるティエラだったが、雅也は気にせず
じりじりと距離を詰める。
説明しているうちに、早く試してみたい気持ちが抑え
切れなくなっているのだ。
普段は理知的で静かな雰囲気の雅也を、ここまで狂わ
せる、淫具の恐ろしさといえよう。
……いやまぁ、男ってのは、一枚皮を脱げば大体こんな
モンである、という真理もあるのだが。
【ティエラ】
「わ、分かりました!
分かりましたから、服を脱いできますから、ちょっと
待ってて下さい!」
逃げるようにして部屋から出て行くティエラ。
普通ならこのまま女が逃げてジ・エンドであるが、悲し
いかな、モニタリングをしなければならない、という
使命感がティエラを逃がさない。
世の中はかくも無情である。
…………
…………
細い裸身を恥ずかしげに晒し、ティエラが所在なさげに
立っている。
恥じらう様が初々しくて、何ともそそる風情だ。
だが、当のティエラは身体を隠すよりも、雅也の手の
中にあるドラゴンスクリューに釘付けであった。
興味というよりも、何をされるのだろう、という疑念が
勝ったような面持ちだが。
ティエラの視線を受けつつ、雅也は淫具のスイッチを
オンにした。
ベッドの上に座り、恥ずかしそうにしながら股を開いて
秘部をあらわにしたティエラ。
そんな痴態を前にして、雅也は思わず喉を鳴らす。
そのまま押し倒したくなる気持ちを必死に抑えつける。
あくまで淫具のモニタリングを優先しなければならない
のだから。
ある意味、生殺しのようで辛い部分もある。
細かく振動する龍の尻尾(?)部分を、ティエラの
秘裂へと近づけてゆく。
【ティエラ】
「……あの、大丈夫ですよね、それ……?」
流石に不安に負けたのか、ティエラがおずおずと口を
挟んでくる。
まぁ、必要以上にイカれた外見をしているから、不安に
なるのは分からなくもない。
【雅也】
「大丈夫ですよ。
痛くしたり、苦しめたりするためのものではありま
せんから」
一部の淫具にはそういった目的のものもあるが、今回は
違う。
性行為に慣れていないティエラ相手としては、むしろ
向いている部類かもしれない。
そうっと振動する先端部を秘裂に触れさせると、ティ
エラがびくりと身をすくませた。
【ティエラ】
「んぅ……っ!
ぁ、ゃ……震え、て……んぁ……っ」
おっかなびっくり、片目を閉じて淫具の動きを追う。
戸惑っているだけで、不快感は少ない様子に、雅也は
安心して淫具を上下に動かして秘裂をなぞる。
恐がらせないように、周囲をなぞり、徐々に中心部へと
動かす。
直接触れないのでもどかしいかもしれないと思ったが、
先端はまるで雅也の指そのもののように動いた。
よく見れば、先端の形状を変形させながら、ベストの
位置と動きを取れるようにしているのだ。
【雅也】
(まるでこちらの意思を分かっているようですね。
流石は宗一郎氏の考え出した淫具、といったところ
でしょうか……)
内心の感嘆を隠しつつ、雅也はティエラへの行為に
没頭してゆく。
【ティエラ】
「んっ、ちょっと……くすぐったい……です。
ぁ、んっ、な、か、はい……ひぁっ」
力を入れて、柔らかな秘裂にほんの少しだけ先端を潜り
込ませる。
先端は細いので、慣れていないティエラの秘裂でも、
痛みを感じることはなさそうだ。
そのまま、先端を小さく回すように動かしてやると、
ティエラはぴくぴくと身体を震わせる。
緩く出し入れしながら、クリトリスを包皮の上から
刺激してやると、たまらず声を上げた。
【ティエラ】
「ひぁ……っ、そこ、あっ、ああんッ!
振動っ、伝わっ……んんっ、ひぅ……ッ」
うっすらと肌に汗を浮かべ、ティエラが声を抑えて
喘ぐ。
必死に快楽に抗おうとする様子を見ていたら、ちょっと
意地悪したくなって、雅也は口を開いた。
【雅也】
「どうですか、ティエラ。
この淫具の使い心地は?」
至極真面目な顔と口調で問うたのだが、ティエラは頬を
紅く染めて黙り込んでしまう。
当たり前ではあるが。
【ティエラ】
「そんな……こと、ん……恥ずかしくて……、言え、
ない……ぅん……っ、です……」
しかし、様子を見ている限り、感じているのは間違い
ない。
証拠に、秘裂から愛液が僅かに滲んでいた。
痛くしないよう、細心の注意を払いながら、淫具の先端
部分を秘裂に埋めていく。
【ティエラ】
「ん、ぁ……っ、は、きゃぅ……ッ!
はい、って、く……んっ、はぁあッ!」