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主人公本間 宗一郎(ほんま そういちろう)は、郊外に居を構えて日夜怪しげな研究に没頭していた。
俗に言うマッドサイエンティストである。
父が残した会社にその研究成果をフィードバックさせながら、思う存分研究を続ける毎日だった。 |
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そんな折、宗一郎の幼馴染で現在は屋敷のメイドでもある貴城 芙柚香(たかしろ ふゆか)が、古い書物を発見した。
崩れた壁から出てきたと言うその書物は、本間家の祖先が記した『からくり』の技術書らしい。
その本の著者は『御下劣斎』の異名で知られ、本間の歴史の中でも異彩を放つ人物であった。
江戸時代に活躍したとされるその人物は、淫具……今で言う所のアダルトグッズ……の作成にかけては当代右に出る者無し、とまで言われていたという。 |
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興味を惹かれた主人公が書物を開くと、そこには何も書かれていない。
疑問に思いつつも頁を進めると、たった一つだけ記された設計図が目に留まった。
それは驚くべき事に、機巧人形……つまりロボットの設計図らしい。
そしてどうやら、この書物を読み解くための重大な秘密が、このロボットには秘められているらしいのだ。
技術者としての興味も抑えられず、制作に入ろうとするも、開発と制作に莫大な金額がかかる。
会社に研究資金を無心するも、なしのつぶてを食らった宗一郎は、怪しげな知人ジョージに相談する。 |
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融資の約束を取り付けた宗一郎だったが、ジョージは一つの条件を出してきた。
以前、宗一郎が戯れに作ったアダルトグッズが非常に好評だったので、また新しいグッズを作って欲しいとの依頼だった。
グッズの販売権をジョージに委譲することで、融資を引き出す……。
その条件を飲んだ宗一郎は、早速ロボットの開発に着手する。 |
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完成したロボットは『愛依(あい)』と名付けられ、家族の一員として生活を共にする事となった。
そして矢張り彼女には、白紙だったからくり技術書を読む機能が備えられていたのだった。
祖先の技術を身に付け、更なる高みへと己を 導くべく、宗一郎の研究は終わらない。
……ついでに、ジョージへの返済も終わらない。 |