本編の主人公。忍びの里『霞谷』で生まれ育ち、武芸・学識全般に長けた上忍。
敵に里を焼かれ「霞谷」が壊滅した後、東間国の君主である紗代姫の下、生き残った忍びたちを 『山吹組』として再編し、その組頭を務める。人の優しさと忍びの冷酷さを併せ持つ好漢。

霞谷頭領の娘であり、生粋のくノ一。負けん気が強く、男っぽい口調や態度ながら、芯には女性らしい気遣いや優しさが垣間見える。父の命により陣馬の許婚となるが、那爪自身は忍び働きをまだ続けていたいという思いが強い。鉄をも両断する鋼糸を操る『殺弦術』を得意とする。

里でも屈指の実力を持つ霞谷上忍衆の1人。水の幻惑術を得意とし、薬術や房中術にも精通する。仲間の忍びに対しては姉のように振舞う、物腰柔らかな包容力のある女性。かつて陣馬の親に恩義があり、それゆえに、陣馬に忠実に仕えている。

若くして火縄銃や焙烙火矢などの火器・火術を扱う事に長け、中忍でも頭角を現していた少女。
火縄銃の射撃術は抜群の才能を誇るが、小柄な身体に比例して力は弱い。明るく快活で、歳相応の無邪気な性格。陣馬に懐いており、忍びの技の教えを受けていた。

主人公の属する忍びの里『霞谷』の頭領。荘厳重厚な人格者で、里の者はその命令なら命さえ惜しまないほどに信頼を寄せている。厳格で、娘である那爪にも変わらぬ態度で接するが、その裏には里や里人への愛情が隠れている。

人に警戒心を抱かせない気さくな青年。陣馬たち山吹組の連絡役を務める陽忍(ようにん)でもある。戦いには参加しないが、隠れ家の手配や、補給、情報の確保など裏方に徹することで陣馬たちの任務を影から支える、縁の下の力持ち的存在。

朱火の父親で、霞谷の武具や忍具の作成を一手に引き受けていた。西洋の知識も貪欲に吸収しており、火器やその他の道具などもツテを頼って入手し、研究などしていた。朱火がやたらとその辺りの知識に詳しいのも父親の影響である。
口調はややぶっきらぼうで職人気質だが、意外と面倒見は良く、両親が死んだ陣馬の面倒をそれとなく見ていた。朱火と口論する時などは、つい熱くなるあたり、親しい者の前では気さくな面もあるのかもしれない。

陣馬が仕える東間国の姫君。前当主・望月秀光の急逝により、一人娘の紗代が家督を継ぐこととなった。壊滅した霞谷の生き残りを『隠密山吹組』として組織。隣国・芦屋の侵攻を防止するために、女の身でありながら国を背負って起つこととなる。国を想い、民からも慕われる、優しくも毅然とした姫君。

望月家に仕える家老の中でも、最古参の老臣。 普段は好々爺だが、若い頃は望月家臣団の先頭に たって、文武両側面から東間国を支えてきた豪傑。 前当主を亡くした東間国の、実質的な政務を 取り仕切っている、紗代の後見人でもある。 紗代姫を引き渡して芦屋に恭順する道に、望月家の未来はないとし、『抗戦派』の論を固める。 その論の裏には、赤子の頃から見守ってきた紗代姫に対する、 肉親の情にも似た忠義が見え隠れしている。

東間家に仕える家臣の中でも、かなりの有力者。芦屋の侵攻に際し、断固抵抗すべしを旨とする 『抗戦派』をなだめ、芦屋との講和の道を模索している『講和派』筆頭を務める人物。紗代からの信頼も厚いが、秘密主義的な部分があり、一部派閥の反感を買う事となっている。